恋愛ターミナル
「あ、支払い……」
「あーいいから。オレ、このままこのタクシーで帰るし」
「でも、さっきのお店でも」
「いやぁ。さすがに女の子に『奢る』って言われて、そのまま奢られるわけにはいかないでしょ」
「さ、降りて降りて」と急かされた私は車外に出た。
それに続いて晃平さんもタクシーを待たせたまま、アスファルトに足をつける。
なんだか本当に申し訳ない。
なにからなにまで、私ばかりしてもらう方で、晃平さんはとんだ貧乏くじを引いたのと同じ。
言葉でお礼を言いつくしても、やっぱりどうもすっきりとしない。
「ね。ほんと、気にしすぎ」
ツン、と人差し指でおでこを小突かれる。
――私、そんなにわかりやすいかなぁ?
梓や凛々、いずみにだって、そんなに心の中を読まれてる感じ、したことないし……。
もしや、晃平さんて、ちょっと前によく聞いた“メンタリスト”?
「あ、なんか違う方向に考え事してない?」
ほら! そんなことまで言い当てるなんて!
私がどうこうじゃなくて、晃平さんが、人の心を読む力を持ってるのよ!
「あの……あまり、心の中を読まれると……恥ずかしいというか、なんというか……」
「はぁ?」
「そういう特技をもってらっしゃるんですね」
「ちょっと待って。亜美ちゃん、やっぱ、飲み過ぎ?」
そう言って、晃平さんはさっきのように手の甲を私の頬にあてる。
外にいるせいか、さっきよりももっと熱く感じるその手に、体温が上昇してしまいそう。
さらには覗き込んでくる晃平さんの顔が近くて、目のやり場にも困ってしまう。
「オレ、別にそんな能力持ってないし」
「え。だって、すごい言い当てられちゃったから」
「……亜美ちゃんは、なんかわかっちゃう」
私だけ? なんでだろう。やっぱり顔に出てるかな。お酒入ったら顔に出やすいとか。ちょっとこれから気をつけよう。
新たな自分のウィークポイントまで気付かせてくれてありがとうございます、晃平さん。