恋愛ターミナル
よそ見をして私を見る顔が、ほんといたずらっ子のように笑った顔。
『前を見て運転して!』と言いたいところなのに、その笑顔で時間が止まる。
そしてすぐに、私の頬は、さらに平岡さんの背にくっついた。
「ひゃ……っ……」
一気に下降する感覚に、初めはびくびくと。
けど、それもほんの少しだけで、すぐに私は髪を激しく靡かせる風を受けながら、猛スピードで駆け降りる景色を眺めた。
「自転車っつーのは、下り坂が楽しいんだ」
風に乗って、そんなことをいう平岡さんの言葉が耳に入る。
きっとブレーキを、まだ一度も使ってない。
そんなスリルを楽しんでるんだ。男の人って、スピード狂ね。
下りは本当に、上りの半分くらいの時間で降りられた。
あっという間の快感に、私も自然と気分がハイになってるっぽい。
「はー。爽快爽快!」
「ふ、ふふふっ……あははっ!」
こんなふうに堪え切れずに、大声で笑ったのなんていつぶりかな?
「――今晩は、なににするんですか?」
「え? メシ? あーそうだった。どうすっかなぁ」
だから、そのハイテンションで口にした。
「私、届けましょうか。ミートソース」