恋愛ターミナル


今日はいつもよりもだいぶ遅くに目が覚めた。

それというのも、昨日のことがあったから。
あんなふうにもどかしくて眠れないなんてこと、あるんだ。

さみしい想いは昔から、心のどこかに必ず存在していて、それに慣れていると思っていたけど。
そんな自分がさみしくてさみしくて。昨日はせめて、と、あのキスの余韻で心を満たして眠ることをするなんて。


「スバルっ。もうじかーん」
「おわっ。マジか! おらっ靴はけーぃ」
「もうはいてるよー」


あー、今日もやってるな。廊下に響き渡っちゃってるよ。


ベッドから出たところに聞こえてきた会話に苦笑しながら、急いで準備を始めた。


今日は朝ご飯、いいや。
キッチンに入るだけで、昨日までのいろんなこと、思い出しそうだから。


食事の時間を削ると、寝坊してもそこまで慌てなくても大丈夫で、私はゆったりとしてからパンプスに足を通した。
静かになった廊下に出て、平岡さんとゆうとくんを思い出す。


そろそろ帰って来るのかな。ゆうとくん、やっとお母さんのたまごやき食べれるんだ。


「ふ」とひとり干渉に浸って声を漏らして笑うと、アパートの玄関の方から足音が聞こえてきた。
その足音が階段を昇り、ここまで近づいてきたのと同時に、青い色が目に飛び込んできて息を飲んだ。


「――はよ」




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