恋愛ターミナル
ちょくちょく遊びに来る凛々は、我が家のようにリビングで足を投げ出す。
だけど今日は明らかになにかがあった様子で、ビールを一気に傾けていた。
「で? もちろん理由、聞かせてもらえるのよねぇ?」
私がプルトップに手を掛けながら聞くと、「えぇと」と言ってなかなか凛々の話が進まない。
そんな凛々の様子を見て溜め息をひとつ吐くと、私から助け船を出した。
「『徹平がむかつく』、って?」
「あ! そうそう! あいつ、合コン行ってて。モテてて!」
「なに? 居合わせたの?」
「偶然にね」
凛々が、どうやらそのときのことを思い出して、一気に飲み干した缶ビールをメキメキッと握った。
凛々は私と違って感情表現が豊か。
だからケンカもするし、でもその分、その相手とは絶対に絆が深まってると思う。
でも、そんな凛々でも、合コンについてはあきらめたのかなんなのか、今まで何度かそういうことがあっても黙認してたと思うんだけど。
まぁ、徹平は私も知ってるけど浮気出来るような器用なヤツじゃないからね。
「でも、合コンとかっていまさらじゃないの? 初めてのことじゃないでしょ。凛々も許してたんじゃないの?」
「まぁ、勧めてるわけじゃないけど、確かに付き合いなら。って許してた。でもね?! “今日”合コンっていうのが問題なのっ」
「“今日”? なんかの日ってこと?」
「そう! 私たちの9年目記念日!!」
さらに感情的になった凛々は、自分で持参してきたチーズ鱈を3本をいっぺんに口に入れた。
怒ってるのは本当なんだろうけど、そのチーズ鱈がなんか平和な感じに思えるのは私だけ?
なんだかんだ、凛々と徹平はわーわーやって、元の鞘に収まるんだから。