恋愛ターミナル


「付き合ってくれてありがとう」


タワーに隣接したところにある大きな映画館をあとにしていた私たちは、帰り道を歩いていた。


「映画、久しぶりで私も楽しかったです」
「そう? なら良かったー。オレ結構一人で行くんだけど、たまに誰かと観るのもいいかなって」


そっか。いつも一人で観てるのか。じゃあ彼女とかいないのかな?


隣を歩く晃平さんを盗み見て、勝手な想像を色々と始める。

一人暮らしかな? どんな部屋に住んでるんだろう。いつもこのくらいの時間に帰って、それであのさっきのパスタのような美味しいものをこれから作って食べるのかな。
それともコンビニとかで済ましたりもするのかな。


「あっ!」


そこまでシミュレーションをして思い出した。


「え? どうしたの?」
「こ、晃平さん、お腹すいてないですか?! 私はさっき食べたけど、晃平さんはそのまま……」


ああ。気がつかない女だなぁ、私。

さっきも映画を観る前に、晃平さんが「なにかいる?」って聞いてくれたけど、お腹が満たされていた私は、即答で「大丈夫です」って言いきっちゃって……。
思えばあの時、もしかしたら晃平さんはなにか軽食でも食べたかったのかもしれない。

どうしてそんなことも気付かなかったんだろう。

うぅ……大失敗。
こんなんじゃ、『支えられる奥さん』なんかには程遠いよ。




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