恋愛ターミナル
顔を赤くして、ぶんぶんと両手を振り、必死の思いで断った。
だけど晃平さんは、立ち上がることをせず、肩越しに振り向いて私を鋭い目で見る。
「だめ。じゃなきゃ抱っこにするけど?」
「だっ……」
抱っこって! あ、あの、いわゆるお姫様抱っこってことでしょう?!
それこそ本当にこんな公衆の面前で無理ってもんですっ!!
究極の選択を迫られた私は、晃平さんの大きな背中を選ぶほかなくて、そっと肩に手を置いた。
あ。華奢にみえて、しっかりした体つき。
ふわっと重力に逆らう感覚と共に、ハーブの香りが微かにした。
「あ、あの……ごめんなさい」
「じゃあ、こんな状況だし、今日は外メシじゃなくて、オレんちで適当に作るのでもいい?」
「えっ? は、はぁ……」
おぶられるのも、このあとの予定も、されるがまま。
避けたくて、逃げたはずなのに、どうして今、こんなにも密着することになってるんだろう。
私からなにか話題を振ることも今日はできない。
ただ、晃平さんの歩調と温もりを感じるだけ。
「どうして逃げたの?」
突然、晃平さんが本題である疑問を口にした。
「どうして」って言われると……勝手にあの子に嫉妬して、晃平さんの言葉に打ちのめされて、あの場所にいることが苦しくなったから、としか言えない。
そんな理由も呆れられそうで説明できない。