【続】クールな彼が好きすぎて困るんですが!!


「……そんな顔しないでよ」



ぽんぽん、と、小さい子どもをあやすように頭を撫でてくれる。


困ったように笑う山田くん。あたし、いったいどんな顔してたんだろう。


大体の想像はつくけど。きっと、今にも泣き出しそうな顔をしていたに違いない。


“離れたくない”“寂しい”って。あたし、顔に出やすいからなぁ……。


大人しく、黙って山田くんになされるがままに撫でられる。


温かい手に、そのまま強く抱きしめてもらいたかった。



「……なかなか一緒にいてあげられなくてごめんね」



優しく響く声に、ふるふると顔を横に振る。


今日も、午後から部活だってさっき言ってたし。

あんまり迷惑かけちゃいけない。

それは、これからもきっと変わらないけど。


でも。



「……たまには、こうして甘やかしてね」



それだけで、十分すぎるほどに幸せだから。

ちょっとくらい、会えないのも我慢できるから。


だから、“次”の約束をください。


満開の笑顔で小指を差し出したあたしに、山田くんは笑みをこぼして、自分の小指を絡めてくれた。


< 131 / 200 >

この作品をシェア

pagetop