少女を拾いました。


「ただいま~」

家に入るといつも通り
ジョン、マイケル、ジャクソン
が出迎えてくれた

リビングに行くとソファーで
体育座りをしている里沙の姿があった

「ただいま」

「・・・」

里沙はいつも同じ反応をするので
おもわず苦笑いしてしまう

「俺さぁ里沙のこと心配で
寒いなか早歩きで来たんだよ~」

「・・・」

「でもわりと里沙普通だし…」

「・・・」

そこまで言うと里沙はスッと立ち上がり
無言でキッチンの方に向かった

何だ何だ?と思い里沙を追ってみると

「里沙?何してんの?」

「・・・」

「?」

「・・・・お風呂…」

「え?」

「沸いてる…」

「え!?沸かしてくれたの!?」

「・・・」

「別に平気なのに~」

「平気じゃない・・・」

「・・・・・・え?」

「・・・これくらいなら…私がやります…」

「・・・いいの?」

「・・・」

里沙は頷いた

「ありがとう!!助かるよ!!」

俺は嬉しくて満面の笑みで言った…

「・・・・・」

「・・・?」

何故かじっ…と瞬きもせずに
見つめてくる

「?顔に何か…ついてる?」

そう言うと里沙は顔を横にふった

「・・・・・よく・・・笑うから・・・」

「・・・・え?そう?わりと普通だと
思うけど・・・」

「・・・・・」

「・・・・里沙は?」

「・・・・?」

里沙はキョトンとしたような顔をする

「・・・笑わないの?」

「・・・・・・・別に・・・笑う必要ないから・・・」

「・・・・え?」

「・・・・・・面白くないのに笑ったり・・・
楽しくないのに笑ったり・・・そういうの・・・」


「面倒くさいんです……」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・違くない?」

「・・・・え」

「笑うから面白いんだよ…
笑うから楽しんだよ…」

「・・・・」

「俺が…笑う楽しさを…面白さを…
教えてやる…」

里沙は…きっと知らないんだ…


人生という楽しいゲームを…







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