冷たいな京華さん
その年の夏は随分と猛暑でした
「邪魔するぞ」

その珍客は突然やってきた。

長い黒髪、前髪パッツン気味の少女。

ややつり目で、左目尻にホクロ、裾の短い白の着物姿。

足袋、赤い鼻緒の黒い下駄を履いている。

一見すると、いいとこの家のお嬢さんといった感じの幼女。

しかし、やけに尖った耳が『只の人間ではない』事を示していた。

少なくとも冬城ストアのただ一人の店員、橘 千春(たちばな ちはる)にはそれがわかった。

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