冷たいな京華さん
「こう暑いと敵わんのぅ」

幼い顔立ちの割には古風な口調で。

その可愛らしい幼女は着物の襟元を摘まんでパタパタやる。

「何か冷たいものはないかえ?冷酒が理想じゃが、この際カキ氷や麦茶でも目を瞑ろう」

「……」

何でこんなに偉そうなんだろう、この子。

そんな事を思いながら。

「子供に冷酒ゆー訳にはいかんけぇ」

千春は店の奥の冷蔵庫の中から、ペットボトルのオレンジジュースを取り出した。

こんな山奥、信号機が一つしかないような超のつく田舎町のスーパーでも、このくらいの品揃えはある。

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