三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
  言ってしまってから『しまった!』と心の中で後悔しつつ
「い・いや。何でもないよ。今聞いた事は『ただの言葉のあや』だから気にしないでくれたまえ」
  と言っておじさまはつい言ってしまった自分のその言葉を、慌てて否定した。


  ちなみに美園はこの時おじさまが無意識に発した『義息子?!』の言葉に対して?(はてな)マークで、頭の中をいっぱいにしながらも
「もおー。おじさまったら冗段はナシですよー。ってか私マジでビビりましたわ」
  と言っておじさまの背中を思いっきり叩いた。




  尚、この時おじさまは決して自分が楓駕(ふうが)の義父だと言う事を美園に気づかれては困る立場だったので、内心ヒヤヒヤものだった。




  そしてこの時美園は人が出会うと言う事は偶然と必然の二通りあるけれど、このおじさまとの出会いは多分『必然』なのでは?と漠然と思った。だがこのおじさまとの出会いは、楓駕の母親がお膳立てをしたものだったと美園が知るのは、皮肉にもおじさまが亡くなった後だった。
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