月の満ち欠け
「はい。これ約束の謝礼よ」
  と言って峻哉の母親はその女性にお金の入った封筒を手渡した。




  そうなのである。峻哉の母親は仕事の休憩時間に、一緒にバイトとして働いていたその女子大生に、ずっと悩んでいた息子の事を何気なくポロリとしゃべったのだ。




  するとその女性から『息子のひきこもり脱出作戦』の一部始終を持ちかけられた。




  でもって藁(わら)にもすがる思いだった峻哉の母親は、その話に即乗ったのである。
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