飛ばない蝶は、花束の中に



会いたくない訳ではない。

笠島龍司は紛れもなく、私の優しいパパだ。



時々、大きな箱にたくさんのお菓子と、綺麗なものを詰めて、会いに来てくれたのを覚えている。


今でも残っている、その頃のプレゼントの一部。


たかだか6歳か7歳の娘には高価すぎる、ピンクのスワロフスキーで出来ているクマの置物だとか。

クロコダイルスキンのポシェットだとか。

ラビットファーの、襟だとか。




だけど、きっとそれらは。

私にではなく、私のママの機嫌を取るためにくれたものだと、思う。


大きくなって、自然に理解した事実。



私のママは、パパの愛人なんだ、ってこと。



それも、何人目かの。





< 103 / 328 >

この作品をシェア

pagetop