飛ばない蝶は、花束の中に
会いたくない訳ではない。
笠島龍司は紛れもなく、私の優しいパパだ。
時々、大きな箱にたくさんのお菓子と、綺麗なものを詰めて、会いに来てくれたのを覚えている。
今でも残っている、その頃のプレゼントの一部。
たかだか6歳か7歳の娘には高価すぎる、ピンクのスワロフスキーで出来ているクマの置物だとか。
クロコダイルスキンのポシェットだとか。
ラビットファーの、襟だとか。
だけど、きっとそれらは。
私にではなく、私のママの機嫌を取るためにくれたものだと、思う。
大きくなって、自然に理解した事実。
私のママは、パパの愛人なんだ、ってこと。
それも、何人目かの。