飛ばない蝶は、花束の中に


「…明日……鷹野は仕事、雅は午後からバイト、俺はちょっと本家に用がある」


親父に会う気がないなら、深雪、ひとりで留守番、できるか?



「……ん~」


そ、か。
ひとり…。


そういえば“タカノ”。

彼は、到底仕事なんか出来ないと思っていたけど……

なに、してるんだろう。

昔と違って、とても綺麗になっているけど。




「きっと、嫌な思いする人いるし…私も嫌な思い、しそう」


だから行かない、と答えた私に、お兄ちゃんは。

そうか、と薄く笑みを、浮かべた。



私の視線は。

ソファで抱え込むように“雅”を座らせて、髪を梳く“タカノ”から。


“雅”は静かに笑んでいるけれど、ひどく苦しそうな顔をする“タカノ”から、なんとなく。


離せなかった。




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