飛ばない蝶は、花束の中に
…ちょっと、待って。
私の好きな店に行って服を買え、と、こんなに持たされて。
「…私、ひとりで行くの?」
買ってくれるなら、お兄ちゃんに買って貰いたい。
一緒に行って、選んで貰いたい。
こんな、お金だけ持たされたって、あんまり嬉しくない。
「一緒に行ってくれないの?」
お兄ちゃんは、小さく息を吐くと、俺には解らないからな、と、詭弁のような事を、言う。
…なによ。
“雅”はどこに行くにもひとりじゃ出さない癖に、私は平気なの?
「……ありがとうお兄ちゃん」
私の思っていたような展開とは懸け離れちゃってるけれど。
お兄ちゃんの灰青の目が、穏やかに私を映す事を、とりあえずは。
ひとまずは。
喜んだ方がいいのかも、知れない。