飛ばない蝶は、花束の中に
あと、少しだったのに。
最寄りの駅について。
階段を降りた。
あとは真っ直ぐ帰るだけだったのに。
行くときよりは、顔色の良いまま降りた雅と。
行くときより、遥かに疲れた私とは。
数人でそこにたむろしていた奴らを、見た。
いや、決して、彼等が悪いわけではない。
多分、誰かと待ち合わせをしているような風情の。
ただちょっと、真っ赤に染め上げた髪で、チャラチャラとした、いかにも軽そうな風貌をしていただけだ。
「……雅?」
「……………っ」
「雅!?」
急に足を止めた雅が。
息が止まりそうに浅く呼吸を繰り返すと、きつく私の手を握ったまま、階段の隅に。
一声も上げずに、崩れ落ちた。
座り込んだ私たちを、まわりは怪訝そうに見ていくけれど、誰も立ち止まりは、しない。