飛ばない蝶は、花束の中に
「雅ちゃんよりずっと、呑まれやすいね」
くすくすと笑う“タカノ”は、ずっと我慢していたのか、ちっとも笑い止まなくて。
「……………」
私は、じわじわと湧き上がる羞恥心と、安堵感に、きっと真っ赤な顔になっていたと思う。
「気をつけないと」
俺みたいな奴に、せっかくの処女、持って行かれちゃうよ。
なんて。
あんまり笑うもんだから。
思わずカッとなって、手を振り上げた。
「おっ…と、毎回殴られるのは嫌だな」
笑ってるくせに、私の手首を掴んだ“タカノ”は、くるりと私の体を鏡に向かわせた。
「うん、綺麗だ」
深雪ちゃんの言い分は、仕事終わったら、ゆっくりうちで聞くから。
ごめんね、次の予約まであと10分なんだ。
気をつけて帰ってね、なんて。
私は呆気なく、裏口から追い出されちゃったけど。
手まで振られちゃって。
目の前でドアを閉められてようやく。
我に返った。
…私。
……私…さっきの…!
ファーストキス…だった!!