飛ばない蝶は、花束の中に
どうして?
なんで?
髪は、いつの間にか綺麗に結い上がっていて。
青い蝶の髪飾りは、私の金髪と灰青の目に、良く映えた。
なすがままに。
“タカノ”の手にした小さな細いハサミは、私の前髪と、全ての毛先を切り落とした。
“タカノ”は甘く淫靡に、わざとらしく。
耳元で、呪いの言葉を吐くように。
良く知りもしないで首突っ込むと、怪我するんだよ。
熱いかどうか確かめる為に触って火傷するのは、小さな子供のする事だよね。
凱司だけを見てれば、良かったのに。
囁くように。
呟くように。
その、濃い睫毛に縁取られた黒い目を、伏せたり上げたりしながら。
真綿でくるみ込んで窒息死させるような、そんな、声。
「ああ見えて、雅ちゃんは別に何にも言えない子じゃないんだよ」
束縛されてるのは俺の方だと思うけど、と。
ふっ、と。
突然。
魔法が解けたかのように、可笑しそうに笑った“タカノ”に。
私の緊張の糸も、引きちぎれるように、切れた。