飛ばない蝶は、花束の中に


雅には悪いけど…。

…私が頼んだ訳じゃ…ないわ。


“タカノ”が私を好きになったわけでもない。


あいつは。
平気なのよ。

ああいう事、誰にでもしてるのよ。



必死で、言い聞かせた。

だけど、雅のいるカフェを、振り返って見ることは、できなくて。



逃げるように、なんとか家まで辿り着いた。

二カ所、三カ所と、鍵を開けては、閉めて。



静かなリビングの、モスグリーンのソファーにうずくまるように収まって初めて、綺麗にまとめられた髪に、触れた。


気が違ったように青い蝶を、強引に引きむしる。

長い金髪が何本も千切れて絡む髪飾りを、投げ捨てようと腕を振り上げて。


そのまま、しょんぼりと。
胸に抱き締めた。



唇には、“タカノ”の感触が、残っている。

きっと、一生忘れない。


私のファーストキスの相手は、“タカノ”だ。

お兄ちゃんじゃ、ない。



可能性すら、なくなっちゃった。




ほんと…アイツ…最、低…!!





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