飛ばない蝶は、花束の中に
「…真面目に言ってるんなら、真面目に答えなきゃな」
お兄ちゃんは。
なんでお前にこんな事言わなきゃなんねぇんだろうなぁ…と呆れたように、苦笑した。
「お前なぁ……」
そうそう“兄妹”でヤれるもんじゃねぇんだぞ?
「人間ってのはな、遺伝子の近い奴には欲情しないように出来てんだ」
「………………」
「…通常、親族には…勃たねぇようになってんだよ」
わざと、かも知れない。
嘘かも知れないし、ほんとかも知れない。
お兄ちゃんは、困惑する私の、ぐしゃぐしゃになった髪を軽くほぐすと、膝から私をおろして立ち上がった。
“無理”って、そういうこと?
「…勃たねぇけど、な? 深雪は充分美人になったと思うし、体つきも、まあ雅よりは遥かにセクシーになったと…そのくらいは、思う」
お前に男でも出来たら、そいつ叩き殺したくなるくらいには、愛してる。
それじゃ、駄目か?
お兄ちゃんの、初めて見るような、ひどく困った顔に私は。
悲しいような、嬉しいような。
絶望というか、落胆というか。
とにかく。
腑に落ちてしまって。
行き場のない感情の波が、涙となって、溢れ出した。