飛ばない蝶は、花束の中に


私、どうしたらいいの、お兄ちゃん。


「…いきなり脱いだって駄目、なのよ、ね? どうしても…駄目…、よね?」



私は、置いてきぼりのように、へたり込んだまま。

お兄ちゃんはソファーから離れて、テーブルに置かれた煙草を手に取った。




「……そうだな」


カチリ、と音を立てて、咥えた煙草に火を付けたお兄ちゃんは、ひと息吸い込むと、ゆっくりと吐き出した。




「俺が深雪を深雪だと思わないように、必死に誤魔化せば、できる、とは…思う」

男の体なんか、単純だからな。
お前の目を隠して、別の女だとでも思えば、出来ないことも、ない。



「例えば」

雅だ、とでも。




「嫌だろ?俺は、嫌だ」


お兄ちゃんは、至極真面目に、いきなり。

私の目の前に、現実を突き付けた。




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