飛ばない蝶は、花束の中に
「…お兄ちゃんは……」
どうして?
だって、雅がお兄ちゃんを好きなんでしょう…?
だから、一度だけ。
“タカノ”に上げる前に、“してあげた”だけなんでしょう?
「雅にどう聞いたのか…知らねえけどな…?」
お兄ちゃんは、苦笑しながら、ゆっくりと、煙を吐き出す。
…やだ。
聞きたくない。
そうなんじゃないか、って、ちょっと思ったけど…聞きたくない。
「俺が、雅に惚れてたんだ。あいつの弱さに、俺がつけ込んだ」
それに。
「俺が、無理に鷹野にくっつけてる訳じゃねぇぞ?」
雅が、自分で選んだんだ。
俺もさっさと諦めりゃいいのに、どうにも吹っ切れねぇ。
だから。
雅だと思えば、出来る。
だけどそれは、深雪でやっていい事じゃ、ないだろ?
大事な妹に、そんな馬鹿な事、出来るわけ無いだろ?