飛ばない蝶は、花束の中に
引きちぎれた綿。
固く詰め込まれた綿は、あいた穴から溢れやしなかったけれど、切れた太い糸は、プチプチと音を立てて何針分も、切れた。
弾けた果実のように。
中身を押さえきれなくなった表面が捲れて、綿は。
こんもりと、アザラシの腹をグロテスクな物に、変えた。
「…私を……雅だと思えば?」
顔を隠して?
目を隠して?
声も上げずに、呼びもせずに。
そんな冒涜って、許されるの?
手が、震えた。
言われた意味を、考えれば考えるほどに、怒りと悲しみが渦を巻く。
あんな仕事の仕方をしていた“タカノ”に、キスをされた事よりも、ショックかも知れない。
雅、雅、雅。
お兄ちゃんも“タカノ”も。
…雅ばかり。