飛ばない蝶は、花束の中に


雅の部屋に閉じこもった。

ここしか、閉じこもる事が出来なかったから、仕方なく。


泣くに泣けなくなった私は、部屋に転がる白いアザラシのぬいぐるみを、蹴り飛ばす。



血の気が、引いた。

悲しいのか、悔しいのか、わからない。




お兄ちゃんが、雅を好き?

あんな、あんな。
ただ従順なだけの、ちっぽけな子を?


ほんとうは何を考えているのかよく解らないような、あの子を?





アザラシを拾い上げた。

雅が、抱いて寝るアザラシは、お兄ちゃんの部屋にあった物。

きっと雅が選んだのだろうけど、お兄ちゃんの部屋に、あった物だ。



可愛らしい、白いぬいぐるみ。




私は思い切り、短く突き出たその手を、引きちぎった。




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