飛ばない蝶は、花束の中に
……な、に?
こんな…あからさまに…
何を、言っているの……?
“タカノ”の指が、私の髪に伸びる。
思考が、ゆるゆると回転した。
「…あれ?怒らないんだ?」
「…………」
怒、る?
どうして?
…私から、お兄ちゃんを盗った雅。
その彼氏である“タカノ”。
どうせ、お兄ちゃんは私を見ないもの。
どうせ、ファーストキスの相手は“タカノ”だもの。
今更、何を守ればいいの?
どうせ、お兄ちゃんじゃないならば。
雅の彼氏を、裏切らせたって。
いいんじゃない?
「………いくら?」
「……………」
“タカノ”は一瞬、目を見開いて、僅かに眉を寄せた。
髪をつまむ“タカノ”の指を、強く掴んで私は。
いくらで、してくれるの?と。
挑むように、睨み付けた。