飛ばない蝶は、花束の中に
玄関の前で、堅く浅く、頭を下げたひとは、雅を送り迎えしている“友典”だと、教えて貰った。
名前は聞いていたけれど、会ったことのなかった彼は、お兄ちゃんの停めた車の、ドアを開けた。
「……………」
私に、ちらりと視線だけで挨拶をした彼は、開けたドアから、雅に手を貸し、ゆっくりと降ろした。
「友典、急に悪いな」
「いえ、父はもうすぐ帰ると連絡がありました。母も、そろそろ戻ります」
雅は、私を見ては、目を逸らす。
ひどく、申し訳なさげに。
“友典”が小さく、大丈夫ですか?と尋ねるのに頷いた雅は、縋るようにお兄ちゃんを見上げた。
「……鷹野さん、は………?」
きゅ、と胸の前で握られた手が、妙に白く弱くて。
ようやく訊けた質問に、お兄ちゃんは。
心配するな、大丈夫だ、と。
肩をすくめた。