飛ばない蝶は、花束の中に
「…でも凱司さんの“大丈夫”の基準って…“死なない”…ですよね……」
あたし基準だと…?
雅はひどく不安そうに、質問を重ねる。
え、お兄ちゃんの基準ってそんな所にあるの?
それは…雅の心配ももっともかも知れない。
「お前基準でも……絆創膏程度だ」
「……血?」
「アザ」
「…嘘?」
「……普通は“本当?”って訊かないか?失礼な奴だな」
笑うでもなく、雅の髪をかき混ぜたお兄ちゃんは、その長身をかがめて、雅の目を覗き込んだ。
「あいつは、少し反省させないとな」
その、距離が。
いつになく近すぎることに私は少しドキリとするけれど。
いつになく弱々しくなってしまった雅と。
その雅をくるみ込むように気にかけるお兄ちゃんの、気持ちが解ってしまっている私は。
やっぱり“タカノ”なんかやめて、お兄ちゃんと付き合えばいいのに、なんて思った事に。
ひとりで唇を噛むような、もどかしさを感じた。