飛ばない蝶は、花束の中に


「どうしたの?」


お兄ちゃんは、苦笑いを浮かべて。
でも、少し嬉しそうで。

帰るぞ、と。
煙草に火をつけて窓を開けた。



「……帰るの?」

「家出猫が、もうホームシックで泣いてるんだとよ」


「………は!?」

ちょっ……いくら何でも早すぎない!?


雅……あんた…

もう少し…プライド高く持ちなさいよっ!!!



「縛り付けて来た方もびっくりするような早さだな」

ったく、灸ひとつ据えらんねぇ。



「えっ…“タカノ”…縛り付けて来たの!?」

「ああ、バスルームんとこにあるだろ、ハシゴ」



ああ~…確かにある…けど。

ロフトみたいなスペースから、日用品を降ろすのを、見たことあるけど…


あのハシゴ……絶対外れないものね…。




「鷹野が暴れて、擦り傷でも作ってたら、俺が雅に責められるんだぞ。面白いから黙って見ててみな」


くく、っと笑ったお兄ちゃんは。
まるでそうなる事が、決まりきった吉事であるかのように。

愉しげに、煙草を押し消した。



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