飛ばない蝶は、花束の中に


保冷剤を入れてもらって。
車に乗り込んだ。


お兄ちゃんは、いつも車のドアを開けてくれるけど。

雅にはした事無い、って言ってた。


アレは、過度に気にかけると、可哀想なくらい緊張するからな。宇田川が開けた時しか、素直に乗り込まない、なんて。


どっちが大事にされてるのか、よく解らないけど。

不思議と、対抗意識は湧かなかった。



ちょっとだけ。

ちょっとだけ、優越感があったのは、私がこうされるのが好きだから、ってだけの理由かも知れない。



お兄ちゃんの携帯が、鳴った。

走り出す前だったから、そのまま出たお兄ちゃんは。

多分、髭の彼から何かを聞きながら。
腕を伸ばして私のシートベルトを引っ張り、正しくはめ込んだ。




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