君しかいらない~クールな上司の独占欲(上)
「ワイン切れちゃった」
「焼酎ならあるよ、この間の残り」
大量に飲んでいるにもかかわらず、ふたりともしっかりしている。
お互いお酒に強いのも、仲良くなったきっかけだ。
新人の頃、同期の初めての飲み会で、あられもなくつぶれた女子を介抱したのが彩と私だった。
「ま、気持ちはわからないでもないよ。今日ちょっと話して思ったけど、あの人って全身で『俺に惚れろ!』って言ってる感じなんだよね、無自覚だろうけど」
言いながら、流しの下から焼酎の瓶を出してきた。
「でも『俺に惚れんな』オーラも同時に出してるんだよねー、難しい人」
そのたとえが言い得て妙で、感心した。
「ま、あたしは惚れないけど」
「なんで?」
「あたしはちやほやされたいタイプだから。あんたは姉御肌と見せかけて、上から目線に弱いからな」
「彩ってたまに鋭すぎて怖い」
「逆に、弟タイプに興味ないでしょ。それでいくと秀二より新庄さんの方が、あんたの相手としては納得」
急に名前を出されて動揺した。
秀二とは会社に入ってからも三年近く続いたので、彩も面識がある。
「なんで私、秀二と付き合ったんだろ」
「学生の恋愛なんて、そんなもんよ」
ぴしゃりと言いきられた。
「でもあの人、普段やんちゃなわりに、急にびしっと諭したりするとこ、あったじゃない」
「あったね」
指摘されて、たしかにそういう部分が好きだったなあと思い返す。