乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
でも…もしそこで美優さんの事を想ってるとでも言われたら…
あたしはどうなってしまうんだろう。
それを想像すると怖くて聞けない。
俯いたままのあたしに、陸さんは「わけわかんねー」と言って、ため息をついている。
「ごめん…今は一人にさせて」
陸さんの顔が見れない。
しばらく沈黙があってから、陸さんは立ち上がった。
「わかった。…帰るわ」
いつになく、小さな声でそう言うと、部屋を出て行ってしまった。
あんな陸さんの声を聞くのは初めてかもしれない。
自信なさげな彼の声に、あたしの胸が苦しくなった。
陸さんがいなくなった部屋は、微かに煙草の匂いと、陸さんの香りが残っていて切なくなる。
本当は抱きしめてほしかった。
大丈夫、昨日のは全部嘘なんだって、好きなのはあたしだけなんだって、言ってほしかった。