乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
遠くから何十台もの単車が近づいてくる音がした。
よくここは暴走族が通ってるので、そう珍しいことではないんだけど。
陸さんはいつもこの音に気付くと脇道に逸れたりしていた。族が陸さんの単車に気づいて、色々面倒になることがあるからだと言ってた。
でも今日は違った。
だんだん近づいてくるエンジン音にあたしの胸は久しぶりにドキドキしていた。
走ってるときは話しかけられないので何を考えているのかわからない。
このままじゃ族と鉢合わせになる…。
まもなく単車のヘッドライトの眩しい光があたしたちを照らした。
それでも突っ走っていく陸さん。
あたしは陸さんのお腹に回していた腕に力を込めた。
するとスピードを緩めて単車は止まった。
「り、陸さん!?」