恋する季節 *- confession of love -*
美琴が男嫌いというか、男と距離を置いて接するようになったのは、中学二年の文化祭がきっかけだった。
たまたま声を掛けてきた男子と少し立ち話をしていたところを、クラスの女子に見られてしまって。
その男子が学年で人気のある子だったらしく、それが原因でクラスの女子から無視されるようになった。
元々容姿に恵まれていた美琴を羨ましく思っている女子は多かったようで、そんな妬みがそれをきっかけで表に現れたのと、恐らくそういう年頃という事もあったんだろう、どちらにしてもつまらない理由だったが。
美琴にとってはトラウマになるほどの出来事だった。
――女子と男子に対する話し方が違う、ぶりっ子。
そんな心無い、事実とは異なる言葉が美琴を傷つけた。
それからは、男子とは一定の距離を保つようになった美琴だったが、男子の方は美琴を放っておかず、どうにか付き合えないかとしつこく言い寄られる事もあった。
美琴にとっては男子自体は怖くはないが、その向こうに待つ女子の視線が怖く、それがじょじょに男嫌いに繋がって行ったというわけだ。
中学を卒業する頃には、男子に話しかけられるだけで怖いと思うようになっていた。