恋する季節 *- confession of love -*


赤い顔をしてしどろもどろに話す美琴に、大和はどんな顔をしていいのか分からなかった。

自分の知らないところで変態だとか言われていた事は気に入らないし、その疑惑については美琴に弁解しておかないと後で問題になりそうだと思いながらも、とりあえずそれよりも何よりも。

「じゃあ、キスした事は……?」それを確認するのが先だった。

ないという答えしか受け付けないようなオーラを放ちながら聞く大和に、そんなオーラを微塵も感じていない美琴が、照れたようなすねたような顔で「……あるわけないでしょ」とぼそっと答える。

美琴のその表情に胸を鷲掴みにされながら、よし……っ!と心の中で大和が会心のガッツポーズをかました時、彩乃が話しかけてきた。

「なんかやけに時間かかったけど、中で何かあったの?
美琴、ペア変わってるし手なんか繋いでるし」

不思議そうに聞く彩乃に、大和が中であった事を説明しようとして……美琴に馴れ馴れしくしていた男子の存在を思い出す。
そして周りを見渡しその姿を見つけると、美琴に彩乃といるように指示してからその男子のところまで走って行ってしまった。

見ていると、何やら怒鳴っている大和に、男子は頭をぺこぺこ下げていて……。
そんな光景を不思議そうに見る彩乃に、美琴はお化け屋敷の中での事を説明した。




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