絶滅危惧種『ヒト』
「すぐにコーヒーを淹れるからさ」



「悪いな」


孝明はダイニングテーブルの椅子に腰を下ろしながら言った。



「今ねぇ、ちょうど南極観測隊のドラマをやっててさぁ、

タカ叔父ちゃんって、あんな場所であんなことやってるんだなぁって思ってたんだ」


栞が嬉しそうに言う。



「ほぅ……、少しは俺の偉大さが分かったか?」


「全然」



「ちょ、オマエ久しぶりに会ったら、ツッコミも上手くなったな」


「へへぇ~ん」


栞は得意満面に笑った。




「しばらくは日本なんでしょ?」


コーヒーをカップに注ぎながら梓が聞いた。




「ああ、しばらくっていうか、ずっとだな」


「えっ、そうなの?」


「うん。転職しようかと思って」



「えっ、何で?」




「だって年がら年中氷の世界だぞ。彼女も出来ないしやってらんないっつうの」



「あはは。彼女が出来ないのはそのせいだけじゃないと思うけどね」


「おい梓! オマエまでツッコミが上手くなってるじゃないか。この野郎」


「あはははは」
「きゃははは」


姉妹は声を揃えて笑った。

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