絶滅危惧種『ヒト』
「ごめんタカ叔父ちゃん。友達を二階に待たせてあるから」


梓はコーヒーをテーブルの上に置くと、孝明に謝ってから二階に戻る。


自分の部屋に戻ると、朋美は携帯電話をいじっていた。



「誰? 叔父さん?」


「うん。お母さんの弟なんだけど、すっごく面白くて大好きなんだ」



「そっか。じゃあ私もう帰ろうか?」



「えっ!? いいよ別に」


「あはは。気を使わなくったって大丈夫だよ」



「うん。っていうか、叔父さん南極観測隊員でさぁ、久しぶりに日本に帰ってきたみたいで」


「嘘! すごいじゃん」



「今テレビでドラマやってるじゃん」



「うんうん。毎週観てる」



「あのドラマで、初めて叔父さんの仕事を理解したっていうか……」



「ねぇ、私も南極の話聞きたいな」



「えっ!? ああ、うん。じゃあ下に降りようか?」


「うん」


梓の問いに、朋美は笑顔で答えた。

< 16 / 223 >

この作品をシェア

pagetop