絶滅危惧種『ヒト』
「うちは男の子ばかりでしょ。本当にカッコばかりつけて、全然言うこと聞かないし、お買い物だって全然付き合ってくれなくて、いつも一人なんだもん」


「ああ、なるほど」


「梓ちゃんは、お母様とお買い物に行ったりするの?」


「ええ、たまにですけど」


「まぁ、お母様が羨ましいわ」


「そうですかね? いつも連れて行くと集(タカ)られるって、文句ばっかり言ってますけど」


「あら、そうなの?」


「ええ」


「ねぇ、良かったら今度のお休みに一緒にお買い物に行かない? 梓ちゃんの欲しいもの買ってあげるから」


「えっ、い、いや、それは結構です」


「そう……。やっぱりオバサンとじゃイヤだよね。ごめんね」


もの凄くガッカリした顔をされたから、梓は心底焦った。


「ち、違いますよ。お買い物は付き合いますけど、欲しいものを買ってもらう、っていうのはちょっとってことです」


「あら、何で?」


「だって、前に聖人がうちは貧乏だって……」


「えっ! あの子ったら、そんな恥ずかしいことを言ってたの?」


「ええ、お父様がボランティアばっかりやっててお金がないって……」


「もう、あの子ったら……。大丈夫よ梓ちゃん。ちゃんとお金はあるから、安心してお嫁に来てね」


真顔で見つめられたから、おそらく冗談なんだろうと思いながらも、とても冗談に思えなかった。

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