絶滅危惧種『ヒト』
「あれ? 今日も休みじゃなかったっけ?」


職場に着くと、北野義弘が声をかけてくる。


観測隊員は全員が昨日帰還報告をした後、今週一杯は休みを貰っていたのだ。


「まぁ、家にいてもヒマだからな」


孝明はニヤッと笑った。


「ゴホっ、ゴホっ」


同時に咳き込んでしまった。


「何だ風邪か?」


「ぁあ、ずっと風邪のウイルスのないとこで生活してたからなぁ、それが極寒の地から、真夏のオーストラリア経由で、また真冬の日本に帰ってきたもんだからさぁ」


「あはは。バカは風邪引かないっていうのにな」


「おい!」


「っていうか、風邪ひいてるんなら、ますます出勤してくんじゃねぇよ。伝染っちゃうだろ」


「まぁ、そう言うな」


「言うわ! すぐに病院に行って来い」


「ちぇっ、まぁそうだな。昼から行って来るわ」


孝明はまた少し咳き込みながらそう言って、北野と分かれた。

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