絶滅危惧種『ヒト』
孝明の口から出たそれは、明らかに普通の吐しゃ物ではなかった。


胃液のように透明ではなく。


その異臭ときたら、鼻が曲がりそうなほどである、それに一番近いのは、膿であった。


すぐに看護師が、倒れた孝明の身体を抱え起こそうとするのだが、孝明はグッタリしたまま動かない。


中から医師も出てきて、担ぐようにして診察台の上に寝かせた。


「おい。息をしてないぞ。ERに連絡入れて!」


「はい」


内科医の上杉は、看護師の村田に向かって叫んだ。


孝明はすでに脈も呼吸も止まっている状態である。


上杉はすぐに心臓マッサージを開始した。

しかし……孝明が息を吹き返すことはなかった。


膿のような吐しゃ物を吐いて、そして亡くなった患者。

すぐに家族に連絡を入れようとしたけれど、連絡がつかないために、警察に連絡が入った。


梓のいる岩崎家に、警察から連絡が入ったのは、その30分後のことだった。

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