絶滅危惧種『ヒト』
「ん?」


梓の携帯電話が振動したのは、まさにこれから始まる塾の授業にあわせて、マナーモードにしたところだった。


「もしもし?」


電話は自宅からで、相手は妹の栞だった。



『お姉ちゃん大変!』


「え?」


梓が眉をしかめたので、隣にいる朋美が見つめてくる。


「大変って何が?」


『タカ叔父ちゃんが死んじゃったって』


「は? 何言ってんのアンタ?」


『今、警察から電話があって、タカ叔父ちゃんと思う人が死んじゃったから、確認に来てくれって』


「ちょ、嘘でしょ?」


『嘘じゃないよ。今から東城医大病院に行ってくるから、また後で電話する』


栞はそれだけ言うと、電話を切ってしまった。



「どうかしたの?」


朋美が心配そうに見つめてくる。



「タカ叔父ちゃんが……」


「孝明さん?」


「うん。死んじゃったって」


「嘘! 何で!?」


朋美が怒鳴ったから、教室の中の全員が注目する。


「それは分からないけど、東城医大病院に、遺体の確認に来てくれって、うちに警察から電話があったみたいなの」


梓がそう言った瞬間、朋美が教室を飛び出して行く。


梓は慌ててその後を追い、同じ塾に通っている、聖人も咄嗟に朋美と梓のカバンを持って二人の後を追った。

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