スキというキモチのカタチ。
それぞれの変化。

このはの変化。

美来と盛り上がり、果ては勝負下着を買う話までしていたこのはは、スマホの振動をキャッチする。



(あ、、、)



「だれだれだれー⁈」



いきなり美来にスマホを取り上げられる。


「あー、このはの大好き王子様ー(笑)

友達と飲んで帰るから遅くなるだってー!」



からかう様な美来の言葉にカッとなる。


「もう!美来ちゃん、やめてよ‼」

取り返したスマホを操作する。

<アタシも美来ちゃんと飲んでるよ、帰り一緒する?今、会社近くのcat walkだよ。わかる?>


そう書き込んで送信する。


「何て書いたの?
お迎えよろしく、とか?」


結構酔っ払っている美来ちゃんはひたすらちゃかそうとする。



「まぁ似たようなものー。」


いちいち突っ込んでくるなぁと苦笑いをしている間に返信がくる。



<後1時間したらそっちの店に迎えに行く。>


暫くして折り返しのメールがくる。



鬱陶しいだの邪魔だの、普段キツい事ばかり言う彬だが、こういう時は優しいのだ。

このははそれを知っている。


その優しさは恋愛感情からくるものではなく、兄弟を思い合うそれからくるものだという事も痛感している。


「お迎えに来るんだ?」


「美来も課長呼べばいいじゃん。酔っ払っちゃったぁ〜とかゆってさ。」



かなり嫌味を含んで言ってみたものの、酔っ払いな美来には痛くも痒くもないらしい。


「あー、じゃあこのはを挟んでイケメンがご対面じゃーん!」



…。



一瞬、なんのこと?と思ったが、美来の目線がマスターに向いている事に気付く。


「べっ…別にマスターは関係ないじゃん!」


急に恥ずかしくなって否定する。

「なくはないでしょ?
彼氏に立候補したいってことはよ?このはのことをスキだってことじゃん。
それなのに自分とあまり変わらない年齢の男がスキな子を迎えにくるんだよー⁈

これがバトルにならないわけないじゃん!」


ガッツポーズしながら力説する美来。


ドラマの見過ぎだよ…。
あり得ない。


「美来ちゃん、アタシで遊びすぎ。
だいたい、マスターのことはまだ何にも考えられないし、他に目を向ける努力をしなきゃならない意味もわかってるよ。

でも今から急に、とか切り替え出来ないよ。

ムリだよ…。」



最後は消え入りそうな声になる。



彬がスキだから。

どうしてもスキだから。


他の誰かを好きになるなんて考えられないのだ。



今はまだ。




「対面とか嫌だから外で待つ!

お会計してくるよ‼」


勢い良く立ち上がったら、お酒のせいかフラついた。

「このは⁈」


尻餅をつく衝撃を待ったが、がっしりとした腕がこのはの体を後ろから支えてくれていた。



「大丈夫?このはちゃん。
間に合ってよかった!」



茅部さんがニッコリと笑った。



「すすすすすみません‼」


ビックリして態勢を立て直すと頭を下げた。

「ごめんなさい‼
マスターこそ大丈夫でしたか?アタシ重たいから怪我してませんか?」



そう一気に言うと、マスターはふわりと笑う。


「マスター、じゃなくて龍司。
リュウでいいよ。このはちゃん。」

「へ?」


グイッとマスターとの距離が縮まった。



腰を抱かれ引き寄せられたのだと気付くまでそう時間はかからなかった。


「関係ないとか言わないでね。
これでも俺、真剣だから。年齢とか気にするかなって思って黙ってたけど、気にしないみたいだからこれからは押しでいくよ?いいかな?」


見上げる程の高い位置から降る言葉。



「わぉ!宣言されちゃったー‼」


横で見ていた美来が1人盛上る。


「ち、近いです!
あの、それで、あの、、、」


このはが何と答えたらいいのか考えあぐねていたその時。



カラン




店の扉に付けられたベルが鳴った。




振り向いたそこに居たのは。




見たこともない表情をした彬だった。




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