もう少しだけ、あなたのそばに

さっきのメールはとても簡単なメール。


【今日は、ビーフシチューが食べたい。よろしく。】


居候の私がまかされている唯一のお仕事。それは彼の食事の用意をすること。

それはわかっている。


むしろ、家賃も取らないで住まわせてもらっていることが申し訳なくて私から言い出したことだし。


だからこそ、聞いたのに。

しかも、時間と手間がかかる料理をリクエストするあたりがなんとも、嫌がらせ?


まだ、学生の分際で遊ぶなってこと?


働いてもいないくせにってこと?


ううん、それはないでしょう。だってこの前、言ったんだもん。

バイトしたいって。

そしたら、速攻返ってきた言葉。


「ダメ。」


なんでダメかとか一切言葉はなかったけど、


「バイトする暇あったら、ちゃんと飯作れ」


って言われた。


それって、私の料理は彼のお口には合わないってこと?


そりゃあ、大財閥の御曹司で彼のお口に合うような物を私が作れているとは思ったことがないけど・・・・・・。


だったら、実家に行ってお屋敷のシェフに作ってもらえばいいじゃん!





「花憐」



「え!」



急に名前を呼ばれてビックリ。



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