HIVに捕らわれて
後日彼女にそのことを伝えると、


「芸術家といのは、変な所に関心を持つのね」


と言ってくれました。


僕は、独立したばかりの駆け出しの


「建築士」


でしたが、自分が


「芸術家」


と呼ばれる存在ではないということを、あえて否定しませんでした。


彼女が発音する


「芸術家」


という響きが妙に心地よく、僕は彼女からそういう形で尊敬されるのも悪くはないと思ったのです。

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