HIVに捕らわれて
誰かから、見られる気がしました。


目の前の富岡以外の誰かから。


僕の細胞に訴えかけているのを感じました。


僕の細胞の中に入り込み、何かがそうさせました。


その時そう感じたのか、あとになって、そう感じたのか、今となっては正確にはわからない。


ただその時僕はその小切手を、図面を引き裂いたときみたいに半分に破り、そしてまた、半分に引き裂きました。

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