HIVに捕らわれて
夜の記憶を辿りました。


サキのしなやかに反った白くて、ちょっと大きな背中。


肩甲骨の下にほくろがありました。


彼女はその存在を知ってるのだろうか。


ひっそりと彼女に隠れて存在するほくろのことを思いました。


その存在の意味を思いました。


そして僕は今、そのほくろさえも、握りつぶそうとしていたのです。

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