HIVに捕らわれて

引越し

一カ月が、空虚な妄想の中、過ぎて行きました。


そして僕は、好むと好まざるに関わらず、この事務所を退去しなくてはなりませんでした。


一カ月という期間に何の努力も対策も取らなかった僕への報いでした。


荷造りを終えると僕は少しだけホッとしました。


膨大な建築資料を前にしていると、それだけでやり遂げることへの不安があったのです。

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