HIVに捕らわれて

サキの告白

「どうしたの?」


サキの哀れむような声が、随分と広くなった部屋に響きました。


「まあ、こういう事だよ。


引っ越して、一から出直す。


反省しなくっちゃ。


それと、そうだね、、、」


僕は西の空を眺めました。


大きなため息が出ました。


失ったものの事を思いました。


お金と時間。


夢と野心。


希望と光。




重力に全て吸収されて、痕跡さえ無い。

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