HIVに捕らわれて
山の稜線は黒くなだらかで、空と一体になるまでにはまだ、しばらく時間がかかりそうでした。


あと少し。


せめて星が見えるまでと心に思うと、金星がすでに輝いていて、運に見放された気がして部屋に入ると、そこにはサキが居て、ちょっとびっくりしたような顔で僕のほうに、真っ直ぐな眼差しを向けていました。


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