トシノサレンアイ- 狼と仔猫 -
お風呂では……やっぱり想像していた、いや、それ以上の展開が待っていた。
あたしもアズマが好きだから嫌悪感はないけど、やっぱりこういうのはまだ慣れない。
「そういや、どうして一人暮らしなんかしてるんだ?女子高生が一人で親反対しなかったわけ?」
チューチューとパックの牛乳を飲みながらアズマが尋ねる。
「そうねぇ……家庭の事情?」
「なんだよそれ?」
「追い出されたの。家から」
「ふーん」
アズマはそれ以上追及してこなかった。
それが気を遣ったのか、興味がないからなのか、あたしはまだわからない。
「ま、なんかあったらすぐ言えよ。すぐに駆けつけるからさ」
「うん。ありがとう」
“口は悪いが根は優しいやつなんだ”
カフェのおじさんの言葉が不意に蘇る。
そっか。こういうことなのね。
ついつい愛おしさが溢れて、ギュ、とアズマのことを抱きしめる。
目を真ん丸くして驚くアズマ。
普段、あたしから積極的になることなんてなかったもんね。
「ありがとう。アズマ、大好きよ」
「どうした?熱でもあんのか?」
「アズマも、好きって言いなさいよ」
「まさか、お前にペース乱されるとはな……好きだぜ、セツナ」
思いがけず、満足そうな笑みが口元に浮かぶ。
そんなあたしの表情を見て、アズマも微笑んだ。
幸せだった。
ずっとずっと、こんな日々が続けばいい。