俺のもんだろ Ⅲ
そう声をかけても、こっちを向かない美夜。
「....美夜ちゃーん?」
そう、少し優しい声色でいうと
美夜の肩がぴくっと動く。
「....」
でも、また無言で歩き出す美夜。
....まだダメか。
「美夜?」
もっと優しい声で呼ぶと、
ばっと美夜が振り返った。
その勢いに驚いていると、美夜は
「もうその手には引っかからないんだからっ」
と言った。
....さすがに、見破られてたか。
優しい声で呼ぶと、いつも引っかかる美夜
だったけど、もう覚えたようで
俺を睨む美夜。
「へぇ、学習能力あったんだな、美夜」
と言うと、美夜に近づいていって
ぽんぽんと頭を撫でて、その前を歩き出す。
「なによそれーっ」
と言いながらすぐ隣に並ぶ美夜。
こんなやりとりも、もう呆れるぐらい
よくやってる気がする。
そう思いながら、俺は美夜の隣を
歩き出した。